はいふり批評29 バンク活用、この手に限る

 映像には言語学における"単語"のようなユニットの概念はないと言ってよいでしょう。言語における文法のようなものを映像に当てはめるわけにはいきません。

――安藤紘平「映像プロフェッショナル入門」

今までのはいふり批評で注目してきたのは主にシナリオの部分、文学的な側面に関してであった。しかし、はいふりはアニメという映像作品である。当然、その映像としての構成についても言及する必要があるだろう。

ということで、今回は映像の観点からはいふりを見ていく。かつて映画はセリフがなく映像だけでストーリーを表現していた。今日においてもその手法は生きており、そのテクニックがはいふりでいかに使われているかを紐解いていきたい。

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はいふり批評28 セーラー服と航洋艦

人間はその理性的な魂があるために、他の動物と区別されているにもかかわらず、その理性なるものが、衣服の場合にはさっぱりと現れていない。

――エリック・ギル

前回は食べ物に着目してはいふりを見てみた。食べ物で考えたからには衣食住の各カテゴリでも同様に考えることができるのではないか。そう考えて、今回は衣服の観点からはいふりを見ていこうと思う。

今回特に注目するのはセーラー服だ。はいふりではセーラー服がどのような役割を担い、なにを表現しているのかを確認していきたい。

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