アニメ批評

映画「ウィッシュ」感想

ディズニーの新作映画、ウィッシュ見ました。100周年記念作品らしいし、私も記念に感想を残しておこう。 ※作品内容のネタバレ含みます

「君たちはどう生きるか」感想

ジブリの新作映画「君たちはどう生きるか」を見てきたので感想のような批評のような考察のようなものをブログに残しておこうと思う。 ちなみにアニメ自体のシンプルな感想として普通に面白くて良かったです。タイトルを読んだ時に感じた説教臭い部分は本編に…

はいふり批評30 批評ははいふりのアトリビュートであり、本質ではない

あなたに冰剣の魔術師の本質を見せよう ―—御子柴奈々「冰剣の魔術師が世界を統べる」 貴方はもう見ただろうか?「冰剣の魔術師が世界を統べる」を。元はなろうに連載されていたライトノベルのアニメ化作品であり、2023年冬アニメとして放送された。 ギャグと…

はいふり批評29 バンク活用、この手に限る

映像には言語学における"単語"のようなユニットの概念はないと言ってよいでしょう。言語における文法のようなものを映像に当てはめるわけにはいきません。 ――安藤紘平「映像プロフェッショナル入門」 今までのはいふり批評で注目してきたのは主にシナリオの…

はいふり批評28 セーラー服と航洋艦

人間はその理性的な魂があるために、他の動物と区別されているにもかかわらず、その理性なるものが、衣服の場合にはさっぱりと現れていない。 ――エリック・ギル 前回は食べ物に着目してはいふりを見てみた。食べ物で考えたからには衣食住の各カテゴリでも同…

「アイの歌声を聴かせて」感想

2021年10月29日に公開された劇場アニメ「アイの歌声を聴かせて」を見たのでその感想書きます。ネタバレありで書くので気を付けてください。

はいふり批評27 他人の作った料理にダメ出しをする女たち

何を食べているのか言ってみたまえ、君がどんな人間か当ててみせよう。 ――ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン「美味礼讃」 「私の書くはいふり批評はここで終わりとなる」とか言っていた気がするが、ちょっと書きたいことが出てきたので再開する。終わ…

はいふり批評26 日本が生んだはいふりというアニメについて

ハイ、ではみなさん、ハイ、御一緒に――テムポ正しく、握手をしませう。 ――中原中也「春日狂想」 今回は、脱構築批評を試したときに言っていた「日本のアニメであるはいふりを批評するための批評理論」について考えがある程度まとまったので形にしたいと思う…

新約装甲娘戦機批評 てゆーかほぼ感想

なにが「新約」だこのボケカスぅ! 全知的生命体ははいふりと装甲娘戦機を見てりゃいいんだよ…(1/3の純情な感情)。 今日は装甲娘戦機の主人公リコちゃんの誕生日!誕生日を記念して前回書けなかった装甲娘戦機の良かったところをつらつらと書いていくぞ~…

はいふり批評5周年記念編 船と家族の相似形

あんた初めからわしらが担いどる神輿じゃないの 組がここまでなるのに誰が血ぃ流しとるの 神輿が勝手に歩けるいうんなら歩いてみいや ――仁義なき戦い はいふり放送から5周年おめでとう! なんかやろうと思ったけどなんもやることが思い浮かばんので、いつも…

装甲娘戦機批評 最強無敵の主人公 モリサワリコ

今期楽しみに見ていたTVアニメ「装甲娘戦機」が終わってしまった…。 はあ………………………………………………………………好き。 こういうのでいいんだよ、こういうので……………。 最高に素敵な時間を過ごせたので、その感謝(?)を込めてここに批評を残す! 色々語りたいけど、以下…

はいふり批評25 読者反応批評への機械学習の応用

聖書はそれを読むひとびとすべてとともに成長する ――グレゴリウス一世「ヨブ記講解」 以前読者反応批評を実施した時に「現代用の読者反応批評理論の構築も可能なのかもしれない」と書いていたが、以降その方法を考えてきた。 no-known.hatenablog.com 今回は…

はいふり批評24 はいふりから萌ミリを眺めて

芸術家にとって芸術とは感動の対象でもなければ思索の対象でもない、実践である。作品とは、彼にとって、己のたてた里程標に過ぎない、彼に重要なのは歩く事である。 ―—小林秀雄「様々なる意匠」 前回の最後に書いたように、今回は批評というよりはいふりの…

はいふり批評23 寄せ集めのクラスとはいふり

作者の個性を感じさせず、他者にゆだねられた芸術の理想的な姿こそ、ウォーホルが生涯にわたって見つめてきたイコンに他ならなかった。 イコンにとって作者は重要ではなく、作品の個性もオリジナリティも必要とされないが、教会や家庭で日常的に崇敬されてい…

はいふり批評22 RATtウイルスの起源を探る

哲学者たちにとってもっともむずかしい仕事の一つは、思想の世界から現実的な世界のなかへおりてゆくことである。 ーーマルクス、エンゲルス「ドイツ・イデオロギー」 今回行おうとしている批評は、今までの批評とはかなり趣が異なる。私自身、この批評を見…

劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 再生産総集編

つい先日劇場公開されたばかりの「少女☆歌劇 レヴュースタァライト 再生産総集編」を見てきました。TVシリーズは見ていなかったんですが、ちょっと興味があったので視聴。その感想的なものになります。 TVシリーズの総集編らしいのでネタバレ云々はあんまり…

はいふり批評21 「はいふりは胸に甘えていない」とはどういうことか

俺は小さいオッパイが好きだぜ。だって、あれって『いらっしゃいませ!よろしくね!』って感じじゃない。でも巨乳は『悪いけど、5分以内でたのむわ』って感じだもの ーーミッチ・ファテル 2019年6月2日。「ハイスクール・フリート WEB特番 ゲームと映画でピ…

楽園追放 -Expelled from Paradise-

今朝「楽園追放 -Expelled from Paradise-」を見た。2014年の劇場アニメだが、上映当時はかなり話題になっていた。私は結局見なかったが、主人公の女の子が可愛いということだけはしっかりと覚えていた。 見てみるととても面白かったので、感想を書いておく。…

はいふり批評20 七つの青は今日も世界を包んでいる

国破れて山河在り ーー杜甫 批評や哲学というものは、ある思想が生まれてくるとしばらくしてそれに対する反発が起こる。作者や道徳的な意図を探る批評の反発から形式主義批評は生まれ、形式主義批評(特に構造主義)への反発から脱構築が生まれた。さらに後…

はいふり批評19 日本占領、その先に

私は日本国民に対して事実上無制限の権限をもっていた。歴史上いかなる植民地総督も、征服者も、総司令官も、私が日本国民に対してもったほどの権力をもったことはなかった。私の権力は至上のものであった。 ーーダグラス・マッカーサー「マッカーサー回想記…

はいふり批評18 はいふりの断面図を眺めよう

全体は部分の総和にあらず(The whole is greater than the sum of its parts.) ーーアリストテレス 世界の神話や昔話の中には、不思議な共通項を持っているものが多い。「母親が死んだあと、腹から生まれてきた英雄」というパターンの話は日本中に広く分布…

はいふり批評17 家族の虚構、虚構の家族

3年前、タイに旅行に行ったときのことだった。バスのガイドさんがタイの王朝について移動しながら説明をしてくれていて、私はそういった歴史などに興味を持ち始めていたころだったからとても楽しく聞いていた。その中で、 現在のバンコク王朝の前のトンブリ…

はいふり批評番外編 劇場版ハイスクール・フリート

「はいふり」改め「ハイスクール・フリート」 ーーハイスクール・フリート公式 2020年1月12日、記念艦三笠で先行上映された劇場版ハイスクール・フリートを見てきた。最後A-1 Picturesの柏田さんがでてきて作画の謝罪をしたのには笑ったが、とにかく劇場版の…

はいふり批評16 船が勝手に進めるいうんなら、進んでみぃや!

人は女性に生まれるのではない、女性になるのだ ーーシモーヌ・ド・ボーヴォワール「第二の性」 2019年の後半あたりからだったろうか?フェミニズム、フェミニストとされる人たちの主張が大きく取りざたされるようになったのは。本来は精神分析批評の後あた…

はいふり批評15 はいふりはなぜ成功したのか

ああ、金、金!この金のためにどれほど多くの悲しいことがこの世に起こることであろうか! ーーレフ・トルストイ アニメの製作者として、私たちが一番最初に思い浮かべるのは監督、脚本、キャラクターデザインなどになるだろう。アニメの製作現場を描いたTV…

はいふり批評14 防衛関係費を叩いてみれば、はいふり開花の音がする

国家が有する政治、経済、文化のすべてを含む種々の力の中で、古来何人も否定しえない最も基本的なものは、畢竟軍事力であって、この軍事力のバランスについての正確な認識のない国際関係論は、どこか心棒が一本抜けたものにならざるをえないという、常識的…

劇場アニメ「BLACK FOX」感想などなど

一晩経ったが、まだ興奮冷めやらぬ。そんな気持ちでこのブログを書いている。 昨日、新宿バルト9で劇場アニメ「BLACK FOX」を見てきた。元々「ハイスクール・フリート」でサブキャラクターデザインをしていた斎藤敦史さんがキャラクターデザインをしている…

はいふり批評13 岬明乃はなぜ母親ではなく父親を目指すのか

たのんだぞ、ハムレット。もう行かねばならぬ。夜明けが近づいた。はかない蛍の火も薄れてゆく。もうこれまでだ。行くぞ。父を忘れるな、父の頼みを。 ーーウィリアム・シェイクスピア「ハムレット」 今回行おうとするのは精神分析批評と呼ばれるものである…

はいふり批評12 はいふり、脱構築、全体主義

善や悪はただの名目にすぎず、容易にくるくるどちらにでも移し変えることができる ーーラルフ・ウォルドー・エマーソン 前回予告したとおり、今回は「脱構築批評」をはいふりに適用していく。 最初に、脱構築という直感的ではない概念の説明をした後、試しに…

はいふり批評11 はいふりをのぞく時、はいふりもまたこちらをのぞいているのだ

読者から私が期待するのは、読者が私の本の中に私の知らなかったことを読み取ってくれることです。ただし、それを私が期待できるのは、自分がまだ知らないことを読みたいと思っている読者だけなのです ーーイタロ・カルヴィーノ 今まで私は伝統的批評として…