2019-01-01から1年間の記事一覧

はいふり批評15 はいふりはなぜ成功したのか

ああ、金、金!この金のためにどれほど多くの悲しいことがこの世に起こることであろうか! ーーレフ・トルストイ アニメの製作者として、私たちが一番最初に思い浮かべるのは監督、脚本、キャラクターデザインなどになるだろう。アニメの製作現場を描いたTV…

はいふり批評14 防衛関係費を叩いてみれば、はいふり開花の音がする

国家が有する政治、経済、文化のすべてを含む種々の力の中で、古来何人も否定しえない最も基本的なものは、畢竟軍事力であって、この軍事力のバランスについての正確な認識のない国際関係論は、どこか心棒が一本抜けたものにならざるをえないという、常識的…

劇場アニメ「BLACK FOX」感想などなど

一晩経ったが、まだ興奮冷めやらぬ。そんな気持ちでこのブログを書いている。 昨日、新宿バルト9で劇場アニメ「BLACK FOX」を見てきた。元々「ハイスクール・フリート」でサブキャラクターデザインをしていた斎藤敦史さんがキャラクターデザインをしている…

はいふり批評13 岬明乃はなぜ母親ではなく父親を目指すのか

たのんだぞ、ハムレット。もう行かねばならぬ。夜明けが近づいた。はかない蛍の火も薄れてゆく。もうこれまでだ。行くぞ。父を忘れるな、父の頼みを。 ーーウィリアム・シェイクスピア「ハムレット」 今回行おうとするのは精神分析批評と呼ばれるものである…

はいふり批評12 はいふり、脱構築、全体主義

善や悪はただの名目にすぎず、容易にくるくるどちらにでも移し変えることができる ーーラルフ・ウォルドー・エマーソン 前回予告したとおり、今回は「脱構築批評」をはいふりに適用していく。 最初に、脱構築という直感的ではない概念の説明をした後、試しに…

はいふり批評11 はいふりをのぞく時、はいふりもまたこちらをのぞいているのだ

読者から私が期待するのは、読者が私の本の中に私の知らなかったことを読み取ってくれることです。ただし、それを私が期待できるのは、自分がまだ知らないことを読みたいと思っている読者だけなのです ーーイタロ・カルヴィーノ 今まで私は伝統的批評として…

はいふり批評10 形式主義批評その2 はいふり三大アイロニー

「施肥が十分で栄養状態のいい茶の木には、花がほとんど咲きません」 花は、言うまでもなく植物の繁殖器官、次の世代へ生命を受け継がせるための種子をつくる器官です。その花を、植物が準備しなくなるのは、終わりのない生命を幻覚できるほどの、エネルギー…

はいふり批評9 交響曲<はいふり>

「天才」は美しいメロディーを思いついた後の綿密な音楽設計で、凡人にはっきりと差をつけるのである。 ーー三輪眞弘「コンピュータ・エイジの音楽理論」 今までの批評は、構成や脚本に対してのものだった。しかし、今回の批評は少し視点を変えてみる。作品…

はいふり批評8 形式主義批評その1 ネコと一緒に見るはいふり

ひとしきり、騒ぎが一層激しくにぎやかになったとき、タルーはふと足を止めた。暗い舗道の上を一つの影が軽快に走っていた。それは一匹の猫、春以来おそらく初めて見かけた猫だった。 ーーアルベール・カミュ「ペスト」 今回は形式主義批評・・・特に構造主…

はいふり批評7 吉田玲子と「視点」と「家族」

アンドレア「英雄のいない国は不幸だ!」 ガリレイ「英雄を必要とする国が不幸なんだ」 ーーベルトルト・ブレヒト「ガリレイの生涯」 今回は伝統的批評の一つである「伝記的批評」に手を付けていく。これはその名の通り、作品を作者の人生の反映として見る「…

はいふり批評6 ジャンル批評まとめ

彼らの批評姿勢は、彼らを取り巻く世界の先入観と信念と分かちがたく結びついている。だから、これはなんら責められるべきことではない。 ーーテリー・イーグルトン「文学とは何か」 ここまで、はいふりを4つのジャンル、すなわち「お仕事系」「戦闘美少女…

はいふり批評5 巨大なSFと小さなRATt

おれが生を享けた憎むべき日よ!呪われた創造主よ! おまえでさえ嫌って顔をそむけるような醜い怪物をどうしてつくったのだ? ――メアリ・シェリー「フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス」 はいふりに対して行うジャンル批評もこれで最後になる…