新約装甲娘戦機批評 てゆーかほぼ感想

なにが「新約」だこのボケカスぅ!

全知的生命体ははいふりと装甲娘戦機を見てりゃいいんだよ…(1/3の純情な感情)。

今日は装甲娘戦機の主人公リコちゃんの誕生日!誕生日を記念して前回書けなかった装甲娘戦機の良かったところをつらつらと書いていくぞ~。

前回の奴はこれです。

no-known.hatenablog.com

メカいいよね…

このアニメを見ていてハッとさせられたところはいくつもあるが、その一つがメカの描写だった。第一話のリコがミメシスを撃とうと射撃体勢に入るシーンを見てほしい。

そう、体を固定するためにバックパックから地面にアンカーが撃ち込まれるあの描写!一話で最後だったのか残念過ぎるくらいに素晴らしく、わたしを作品の世界に引き込ませるには十分すぎた1シーンである。

きっと子供の頃に見ていたZOIDSジェノザウラーが荷電粒子砲を撃つ前に足を固定するギミックに興奮していた時の記憶がよみがえるのだろう。

この作品のメカ描写は健康にいい。だが供給量が少なすぎるために過剰に欲しがってしまい、逆に健康に悪い。

デクーはセットアップシーンでデカい腕がいきなり現れるインパクトもスゴイが、腕から排気するシーンが最高だ。昔見たTHE ビッグオーを思い出す。あと第九話で見せたフルバースト。フルバーストが嫌いな男の子はいません!

オーディーンはやはりスラスターだろうか。セットアップシーンでスラスターが展開し、噴かすところは最高である。第六話でしか見せなかったが、使わない時に折りたたむギミックがあるのも点数が高い。

マスカレードJの変形ギミックにはあまりときめくものがなかったが*1、アタックファンクションの際の変形機構は見ていて気持ちがいい。

ルシファーは一番語るところが少ない。だが戦闘美少女ものとして、あのアタックファンクション(通称「プリケツデビルソード」)は高く評価したい。ところで着装シーンの最後に飛ばしてるビットみたいなやつ何に使うんですか?

一つ一つは大変に美味しい。だが圧倒的に量が少ない。そこだけが不満点と言えるだろう。

意外と繊細なキャラ描写

「意外」とはなんだ失礼なヤツだな。

だが実際に、そのトンチキな雰囲気とは真逆にこのアニメのキャラ描写は非常に繊細である。それが顕著なのは主人公のリコ?キャラの背景がしっかりと語られたスズノ?それともキョウカだろうか?

いや違う。今回語りたいのはユイとミハル。この2人である。

タキトウ ユイ

元気いっぱいの切り込み隊長ユイ。しかし、第五話で見せたように元の世界ではあまりいい思い出がなかったようだ。だが、そのことについてアニメ本編中で詳しく語られることはなかった。今度発売されるBlu-ray3巻にその話が出てくるかは…DMMのみぞ知る。

しかし、ユイがどんな女の子かを推し量る情報は、アニメの中に多分にあふれている。彼女は自分で背負おうとする範囲が広い子なのだ。まさに主人公のように。

第一話、自分のために犠牲になった人たちの仇を討とうと最初に言い出したのはユイだったし、その死んだ人たちのマークを覚えていたのもユイだった。さらに犠牲になった御殿場の人たちのために一肌脱ごうと言い出したのもユイである。

そしてその範囲の広さは九話ではっきりと強調される。

誰かがやんないと、生き残ってるあたしらがやんないと、報われないっしょ

これは九話のユイのセリフだが、続く回想には自分たちをかばった御殿場の人、装甲息子(メガネ)、サヤカ、おチヨ、キョウカのかつての仲間たち、とユイ本人は出会ってもない人まで含まれている。

同様に九話で出てくるキョウカの回想には今の遊撃隊とかつての仲間しか出てこないことが、相対的な「背負う範囲の広さ」を強調している。

流石主人公機オーディーンの装甲娘といったところだろうか。だが同時に、人の思いを多く抱え込んでしまう危うい部分も見え隠れしているようにも思えるのだ。

クルキ ミハル

ミハルさん。遊撃隊の保護者ポジションだったからあんまり目立つ話がなかったなぁ…。だが、そんな中でもミハルさんがどんな人かをつかむチャンスはアニメの中に眠っている。というか主に十一話に眠っている。

以下は十一話のミハルが絡んだ会話を抜粋したものである。

リコ「これ止まっちゃってるとどうなるのかな?」

ミハル「単純にもう使えないんじゃないか?」

スズノ「ということは、人類アレしちゃうんでしょうか」

リコ「アレって!?」

ミハル「ミメシスに滅ぼされる…」

リコ「来放題…」

ユイ「なんかもう想像がつかねーな」

ミハル「終わりということだろう」

ネイト「これから起こる時空震の規模と破壊力を完全に予測することができないため、ドックが呼応して発生させるコアのパワーもまた未知数となります。それでも目的上、シールドのたぐいを施すことはできません」

ミハル「起動と同時にここは地獄の門になるということか」

第六話でおチヨの話が頭に入ってこず、第十一話では「豹はヒョウ!じゃないか?*2」などとポンコツ発言もしていた彼女だが、上のセリフを見てみると自身の置かれている状況を適切に理解・把握することに長けているようだ。

第四話でオタクロスから単独で任務を遂行可能と評されていたのも、この辺りの能力が関係しているのだろう。

 

このようなさりげない描写の巧みさがこの作品の優れた点の一つになっている。

素晴らしい劇伴たち

装甲娘戦機を語る以上、劇伴のすばらしさを語らなければウソになるだろう…。あの「聖剣使いの禁呪詠唱」のメインテーマを作曲した坂部剛の劇伴である。どれもこれもレベルが高く、曲を聞いただけでアニメのシーンが蘇ってくる。

「アタックファンクション」

第一話の着装シーンからがっつりと流れるこの曲。純粋にカッコいいが、メカニカルな挙動をするLBXユニットの動きと一緒に見ていると5倍カッコいい。

「装甲車に乗って」

第一話冒頭から流れ始める曲。メロディーラインがメインテーマと同じなため非常に耳に残ることになる。悲壮な世界観とは双対を成すように和やかであっけらかんとした曲で、曲名の通りあの5人が仲良く旅をしている情景にぴったりと合っている。

「悲しい胸中」

第二話のラストでリコとキョウカが会話するシーンで流れていたのが印象的なこの曲。静かで寂しげな曲調が心地よい。一人で落ち着きたいときに流そう。「アタックファンクション」のようなカッコいい曲からこんな切ない曲まで作れるのだから作曲家はやっぱりすごい。

「ミメシスの攻撃」

は~~~~~~~。好き。

第六話の瀬戸大橋での戦いでしか流れていないのがもったいなさすぎる珠玉の一曲。出だしから迸る緊張感と重厚感、クライマックスにふさわしい。こんな曲かかったら主人公は覚醒せずにはいられんやろなぁ………!

「みんなで頑張ったよね」

第七話でリコとスズノの和解のシーンで流れていた曲。穏やかで、優しい時間が流れていく…そんな曲。全話の中でも評価の高い話の評価の高いシーンを受け持っただけあって素晴らしい名曲である。

「最終決戦」

これね。最終話の後半戦、ネイトが「お元気で」と言ったときに流れてた曲だよ。壮大な曲調にここからの展開への期待が否が応でも膨らんでいく。まさかこの後に出てきたラスボスが小指ぶつけてこけたりはせんやろなぁ………!

「アサシン、アタックファンクション」

最終話エンディングの後、リコちゃんがLBXの袋の中身を広げたときに流れる曲。そのことを踏まえてもう一度この曲名を見て下さいよ…。泣けるわ、マジで。アサシンの、リコのアタックファンクションでこの日常が戻ってきたんだよな。この作品のラストを飾るのにふさわしい、晴れやかでどこか寂しげな一曲でした。

 

他にも名曲ぞろいだから、ぜひBlu-ray1巻/2巻を買ってサントラを聞いてくれよな!店舗特典が欲しい人はもうほとんど売り切れてるから諦めろ!

修学旅行の物語

この作品に一話の頃から「何か」を感じていた私は、公式サイトを見に行ったりゲームを始めてみたりと色々やっていた。その中で一番食指が動いたのが「命がけの修学旅行」というフレーズである。

旅の物語というのは古今東西に多くある。ただ、修学旅行のみを扱った物語を私は寡聞にして知らない*3。旅の物語と修学旅行の物語は同じように見えて、受ける印象が違う。

「旅の物語」と言うと、主人公が旅を続けるエンディングでも特に問題ないと感じるが、「修学旅行の物語」と言うと、必ず主人公は元いた場所に戻らなければならない、という印象を受けるのだ。これは「家に帰るまでが遠足です」という言葉を聞いて育ってきたことに関係があるのかもしれない。

だから私は装甲娘戦機を見ている間ずっと、「この子達は最終回で元の世界に戻るべきだ」という思いを抱いて見ていた。そして、そうならない可能性があることも頭の隅にはあった。何しろ装甲娘は継続中のコンテンツ、いわゆる「俺たちの戦いはこれからだ」エンドになることも否定はできなかった。

そうして、どんなエンディングを迎えるのか期待と不安で最終話を見たからこそ、その感動もひとしおになったと言える。エンディングが終わり、Cパートが始まる。元の世界に戻ったリコが今までの冒険が確かにあったのだと確信して、最後に言う「ただいま」。このセリフで物語は締めくくられる。

いや~~~~~完璧すぎでしょ。構成に美学がある! 感動の絶頂で物語を終わることによる余韻も素晴らしい…。完璧に終わったのだと頭では理解しているのに続きを渇望してしまう。TVアニメの鑑ですよ、この作品は。

おわりに

装甲娘ミゼレムクライシスが7月6日にサービス終了するようだ。もうゲームでリコちゃんに会うことはできなくなるが、これでようやくリコちゃんは戦いを終えて元の世界に戻ることができる。本当の意味で装甲娘戦機はその日に完結を迎えるのだろう。

リコちゃん。家族と友人、そして思い出を大切にな。

あと最後に、

うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!

装甲娘戦機Blu-ray最終巻5月26日発売!!!!!!!!!!!!!

*1:そもそも私はダ・ガーン、ジェイデッカーマイトガインなどの変形マシンものにはあまりはまったことがなかった

*2:豹は英語でレオパルド

*3:修学旅行の途中などで大きな出来事に巻き込まれるという意味だと「バトル・ロワイヤル」「エデンの檻」などがある