劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 再生産総集編

つい先日劇場公開されたばかりの「少女☆歌劇 レヴュースタァライト 再生産総集編」を見てきました。TVシリーズは見ていなかったんですが、ちょっと興味があったので視聴。その感想的なものになります。

TVシリーズの総集編らしいのでネタバレ云々はあんまり意味がないかもしれませんが、まだ見ていない人は一応注意してください。

TVシリーズは見てなくても割と大丈夫

TVシリーズを見ないままに劇場に足を運んだが、おおむね問題なく楽しめた。おそらくだが、この総集編はアクションシーンに重きを置いたものになっていると思われる。「多分登場人物のやり取りとか、戦いに至るまでの経緯的なものがTVシリーズだとあったんだろうなぁ」という印象をそこかしこで受ける。

ただ、「劇」という格好を取っているため、キャラクターたちは戦闘中でも自分の思いとかを言葉や歌で発露してくれる。なので、詳細は分からずとも全体の流れを把握する分には初見でも問題なかった。

そのアクションシーンもTVシリーズでこれをやっていたのかと驚くほどよく動く。もしかすると総集編用に追加シーンがあったりするのかもしれないが、それにしても見事だ。特に星見という弓使い*1の戦いと神楽ひかりのワイヤー付きナイフ(?)を使った戦いなどはかなりカッコよかった。

音楽もしっかりと場面を盛り上げてきて、初見なのに感動したり胸が熱くなるシーンもあるほどだった。

全体的にみて、かなり完成度の高い総集編になっているのではないかと思う。ただ、この作品の「総集編」はただの総集編ではなさそうだ。それゆえに「再生産総集編」という特別な名前を付けられているのだろう。

ロンド、再生産、舞台少女

この作品には「ロンド・ロンド・ロンド」という副題のようなものが入っている。ロンドというのは「異なる旋律を挟みながら、同じ旋律を何度も繰り返す形式」のことを言うらしい。

これは単純に考えれば登場人物の一人である大場ななの実行したことを表しているように思われる。彼女は99thの聖翔祭の輝きを忘れられず、その時間を延々と繰り返していた。そして、同じようにレヴューに勝利した神楽ひかりも延々と同じことが繰り返される世界に自ら望んで幽閉されていた。

この2つのロンドを打ち砕いたのが主人公の愛城華恋である。

彼女の言う「再生産」は「ロンド」とは違う。彼女の再生産はバッドエンドをハッピーエンドに変えるほどのエネルギーを持っていた。それは基本的に同じ流れを繰り返すロンドとは別物なのだ。

この「レヴュー」と呼ばれる戦いの中ではステージ自体が彼女たちの望むように変化するようだが、同じ舞台で続けるロンドよりも、新しい舞台で行う再生産の方を愛城華恋は取ったのだろう。

それと同時にこの「再生産総集編」という劇場版もTVシリーズから劇場へと舞台を移した「再生産」そのものなのである。この総集編はよくある「TVシリーズを見ていなかった人への入門用」とは一線を画す意味がある。このTV作品が劇場版用に「再生産」されたこと自体が、この作品全体の重要な意味や主張とつながっているのである。

ぜひ、TVシリーズを見ていない人も見ていた人も、この「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 再生産総集編」のために劇場に足を運んでいただきたい。

「総集編だから見なくていいか」と思っているそこのあなた、あなたこそ見るべきなのだ。

*1:関係ないが、入場者特典の色紙がこの子だった