楽園追放 -Expelled from Paradise-

今朝「楽園追放 -Expelled from Paradise-」を見た。2014年の劇場アニメだが、上映当時はかなり話題になっていた。私は結局見なかったが、主人公の女の子が可愛いということだけはしっかりと覚えていた。

見てみるととても面白かったので、感想を書いておく。

もちろんネタバレも含まれるのでまだ見ていない方は読まない方がいい。

アンジェラちゃんマジ天使!

この見出しと同じことは、おそらく上映時に千回くらい言われていたと思われるが、私も言っておく。とにかくかわいい。釘宮理恵の声がかわいい、顔がかわいい、動きがかわいい、性格がかわいい。最初のとっつきが若干きついかもしれないが、少し我慢するだけでかわいさの奔流を体験できるだろう。

そして、彼女は名実ともにまさしく天使だ。

これも千回くらい言われたと思われるが、アンジェラという名前はエンジェル(Angel)からとられているのだろう。「楽園追放」という題名の通り、アンジェラは「楽園」を自称するディーヴァから追放される。

もともとディーヴァからの派遣され地上に降り立つアンジェラはそれだけでもまさしく「天の使い」なのだが、1回目の降臨が機械的なのに対し、2回目の再臨はパラシュートから剥離した樹脂(?)のおかげで天使の羽が舞っているように見える。天使の資格を失った後の方がよほど天使らしい登場の仕方をしているというのが何とも皮肉であり、面白い演出である。

ディーヴァと地上、そしてフロンティアセッター

私は二項対立がはっきりとしている作品を好きになる傾向が強いようだ。この作品もそうである。この作品での二項対立はディーヴァと地上、そしてディーヴァとフロンティアセッターだろう。

ディーヴァと地上は明らかに「楽園」と「地上」という二項対立になっている。作中でディンゴは誰かによって価値を決められる世界は楽園ではない、と批判されるのがその最たるものである。

ディーヴァが管理者による「規律」の下で成り立つ世界であるならば、地上はアンジェラが見てきた通り、人と人の関係で成り立つ世界だ。地上は「仁義」という「規律」とは異なった原則で動いている世界だと言えるだろう。

そして、ディーヴァとフロンティアセッター。フロンティアセッターは新天地を求めて人間とともに外宇宙の探索に向かう、という「ジェネシスアーク計画」を進めているが、名前からしノアの箱舟がモチーフなのだろう。先ほどの「仁義」を重視した点からいってもフロンティアセッターは間違いなく人間側として描かれていた。

先ほどはアンジェラがディーヴァから追放される、という意味で「楽園追放」のタイトルを解釈したが、ある意味でディーヴァから危険因子とみなされたフロンティアセッターも楽園から追放されている。そしてこちらはエデンの園から追放されたアダムとイブをモチーフにしているのではないだろうか。

フロンティアセッターは最後にディンゴから「人間である」というお墨付きをもらうが、設定上も間違いなく彼は人間だったのである。

なによりディーヴァと地上、そしてフロンティアセッターを対立要素として際立たせるのは、地上側のディンゴとフロンティアセッターが最後に歌う演出だ。おそらく、ディーヴァを歌姫の方のDIVAとかけているのだろう。「楽園」にいる者たちは歌わないが、そこから追放された者たちの方は歌っている。これもまた、皮肉な演出である。

おわりに

他にも「戦闘シーンがすごかった!」とか「期待した話の流れがちゃんとやってきて気持ちよかった!」とか「最後にアンジェラが緑豊かな地球を幻視したのはどういう意味があったのだろう?」など、いろいろとあるが、この辺りにしておきたい。

非常にシンプルでわかりやすく、後味も悪くない。そして主人公のアンジェラが可愛い。見ると得をする劇場アニメだと断言してしまおう。